【日時】 2021年11月3 日 (文化の日)、水曜日、13:30~15:00
【開催方式】 Zoom にてオンライン
【テーマ】 早期異文化理解教育について考えよう
【内容】 外国にルーツを持つ子供たちが国内で増加する中、早期英語教育は重要視されるのになぜ早期異文化理解教育は重要視されないのかについての意見交換会
前年度に引き続き、今年度も文化の日に中国・四国地区研究会を開催した。学会の性質上、先生方の専門分野が多彩であるため、いつも皆様に満足いただける話題が提供できているのか心配である。そんな中、奥西先生よりアイディアを頂き、通常の発表形式ではなく個々の特性を生かすことができる意見交換会を今回は開催してみることにした。
テーマは早期異文化理解教育。日本では、小学校にて英語教育を導入すべきとの論争がかなり前から行われていたが、文部科学省が小学校第5・6学年を対象に「外国語(英語)活動」を最初に必修化したのは、ほんの10年ほど前、2011年である。そして実際に小学校の全学年を対象に必修化としたのは、2020年である。同省による小学校学習指導要領によると、「外国語活動」を通し、外国の言語や文化などに理解を深め、コミュニケーション能力の育成を図ることを目標としている。グローバル化した現代社会では、コミュニケーションツールとして英語が必須だと考えられ、英語で話せることに重点を置いている。
一方、日本国内に目を向けると、外国にルーツを持つ子供たちは、毎年増加傾向にある。しかしながら、異文化理解教育の必要性についてはなぜか重要視されていないように思う。
まず、異文化理解教育が英語のように教科教育として位置づけられていない点に関して、どのような教育を行えばよいのか設定しづらいことが挙げられた。異文化理解教育は生活に役立つかもしれないが、教科教育のように知識や技術習得を可視化しにくいこと、また、そのため「役に立たない教育」として評価される傾向にあるように思われる。しかし、子どもたちは社会で蓄積された「違い」に対する偏見を気が付かないうちに身に着けてしまうため、やはり早期異文化理解教育は必要であると感じる体験談も共有頂いた。
また、英語教育=異文化教育となりがちな点に関して話題が上った。校種、教科を問わない教員免許講習会で「異文化間教育」の講義を担当される田中先生によると、なぜか英語の先生の参加はないのに、外国人生徒に接する国語科目や他の科目の先生方の参加者が多い現状についてお話を頂いた。
最後に、参考事例として、オーストラリアや特に多文化主義を国の方針として掲げているカナダで、異文化理解教育がどのように行われているのか話題提供ができなかったのは残念でした。
今年度は、学会の総会時に地区研究会の宣伝をさせていただいた。その上、オンライン開催ということもあり多数の参加者を期待していたが、参加者数は前年度とほぼ変わらずだった。しかしながら、今回の研究会は、参加した会員同士で自由に意見交換ができたように感じた。
来年度も文化の日に研究会を開催予定です。皆様のご参加をお待ちしております。
報告者:江藤由香里(山陽学園短期大学)