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全国の地区別研究会のご紹介

Introduction of regional study groups in Japan

中国・四国地区研究会

2020年度 中国・四国地区研究会報告

日 時:2020年11月3日(火)文化の日 14:00~16:00
場 所:Zoomにてオンライン開催
話題提供者:Stephen M. Ryan 氏(山陽学園大学総合人間学部言語文化学科 教授

テーマ:Re-thinking “culture” as “difference” in the light of recent findings from Brain Science

【講演内容】
2020年3月8日(日)にライアン先生をお招きして上記テーマにて開催予定にしていた対面式研究会ですが、新型コロナウイルスの感染症拡大を受け、開催を延期させていただくこととなった。しかし、その後、感染状況は変わらないため、Zoomにて開催を試みることにした。テーマ内容が文化に関連していることから、「文化の日に文化について考えたい!」という私の目論見を、講師は快く引き受けてくださり、11月3日に研究会開催となった

当日は講師の体験談をもとに、脳科学の観点から「文化」を「違い」として考え直すことの大切さを分かりやすく解説いただいた。先生のお嬢様が3歳の時には、母国語が異なる子ども同士でも一緒に遊ぶことができたのに、少し大きくなるとコミュニケーションがとれないという理由で一緒に遊ばなくなってしまったそうだ。この経験からライアン先生は、異文化という壁は人間がつくりだすのではないか、と考えた。1990年より脳科学の研究が進むと、知覚が脳 に届けられる行程より、脳が感覚器からの情報 を予測し知覚をつくりあげる行程のほうが遥か に多いことが判明した。また、感覚器を通して 外から受け取る情報と脳の予測がくいちがうと、 その差が新しい知覚となることが明らかになっ た。 異文化について学ぶとき、とりわけ国と国の 違いに着目し、文化として結論付けてしまう傾 向にある。しかし講師は、文化にとらわれず、 異なることに目を向けることによって「違い」 を理解することができると説明した。また、共 通点を見つけ出してから「違い」に注目すると、 異文化を理解しやすいことなどを教わった。

オンライン開催ということもあり、中国・四国 地区以外の参加者があったことはもちろん、地区会員のゼミ生が多数参加してくれたことを嬉しく感じた。後に頂いた学生からのコメントには、ライアン先生の講義内容に刺激をうけた様子が伺え、これからは違う視点で物事を見る目が研究会によって養われたようだ。ライアン先生には専門用語が多い中、ご講演を日本語にて行っていただき、ご準備が大変だったこととお察ししますが、実り多き研究会になったこと感謝いたします。

  報告者:江藤 由香里(山陽学園短期大学)