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Introduction of regional study groups in Japan

関東地区研究会

2015年度第1回 関東地区研究会報告

(2015年5月23日@青山学院大学)

話題提供者: 武田 礼子 先生(国際基督教大学大学院)
発表テーマ:「会話分析から異文化間コミュニケーションを考える」

今回の研究会は、武田礼子先生が、ご自身の研究をもとに、異文化コミュニケーション研究における会話分析の手法について概説され、参加者が実際にデータ分析を体験しながら学べるワークショップもあり、初学者にも会話分析が身近に感じられるセッションでした。

最初に、さまざまな研究法の中での会話分析の位置づけ、視点、理論的な枠組みについて概説されました。次に、社会科学の視点から見て重要である、信頼性、妥当性、数値化の問題について説明されました。続いて、会話分析の手順について解説がなされました。書き起こしの問題や分析に用いる記号といった初歩的な問題から、分析の際に重要な視点まで、先生ご自身の豊富な体験を交えながら、講義が進められていきました。

後半は、英語教育における会話分析の事例が紹介されました。一つ目は、英語教師がポジティブ・フィードバックとして発話する “Very good” の使い方が、時に学習者の発言の機会を奪う可能性があるという事例について紹介され、その対策案が提示されました。二つ目の事例は、帰国生を含む学習者同士のグループ・ディスカッションを扱い、トピック展開や沈黙の長さについての分析が紹介されました。

休憩をはさみ、ワークショップが実施され、「徹子の部屋」における黒柳徹子氏とローラ氏の会話のトランスクリプトを用いた分析演習が行われました。黒柳氏のフォーリナー・トークとローラ氏のベイビー・トークが行き交う会話において、順番交代のタイミングとオーバラップについて、実際に記号をつけながら分析を行いました。質疑応答では、先生の英語教師としての豊富なご経験にもとづき、英語学習において、談話のパターンに習熟させることの重要性と、日本から米国に留学する学生への実践的な示唆も提示されました。

今回のセミナーを通じて、筆者のような初学者でも、記号をつけながらデータと何度も向き合うことで、様々な発見や解釈が生まれてくることに楽しさを覚えることができ、会話分析が身近に感じられました。参加者全員が、今後の異文化コミュニケーション研究における会話分析の有益性とその奥深さと可能性に魅了されたセッションでした。

報告者 原 和也 (明海大学外国語学部英米語学科)