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全国の地区別研究会のご紹介

Introduction of regional study groups in Japan

関西・中部地区研究会

2009年度第2回 関西・中部地区研究会報告

場所: 龍谷大学・大阪梅田キャンパス

テーマ:「二極化する日本の多文化共生の実情」
話題提供者(1):藤井幸之助氏(神戸女学院大学非常勤講師)
発表素材:「日本における民族排外主義団体の最近の活動について」
話題提供者(2):花立 都世司氏 (大阪市社会教育主事)
発表素材:「自治体における外国籍住民施策について~大阪市の事例をもとに」

話題(1)では、「在日特権を許さない市民の会(在特会)」と呼ばれる団体による、朝鮮学校に対してヘイトクライムさながらの暴挙が映像を通して紹介された。在日コリアンの子どもたちが学ぶ朝鮮学校に拡声器を持ったグループが押しかけ、マイクの大音響で「スパイの子どもたち」「朝鮮学校を日本からたたき出せ」と拡声器で怒鳴り散らす暴挙の映像はショッキングなものであった。
社会背景として、不況や、政権交代後、在日外国人の地方参政権に関しての議論が本格化したことが考えられる。また、政府は、高校授業料を実質無償化する予定をしているが、朝鮮学校を対象から排除すべきという意見があり、政府や国会で議論が起きていることも考えられる。研究会では、朝鮮学校のカリキュラム内容について質疑応答があったが、ヘイトクライムさながらの行動に対して、断固とした姿勢を取らない姿勢こそ問題であるという意見が参加者から出た。
話題(2)では、多文化共生推進のための大阪市の多様な施策が紹介された。外国籍住民施策として、大阪市では、「国際交流や国際協力を通じて世界へ貢献するまち」の実現をめざし、国際化施策の推進に取り組んできている。市域に居住する外国人は地域社会を共に構成する「外国籍住民」であるという観点から、いわゆる「内なる国際化」、「共生社会の実現」という課題が国際化推進のための一つの柱になっている。1994年11月に「大阪市外国籍住民施策有識者会議」(以下「有識者会議」)が設置され、国際化に対応した総合的な外国籍住民施策のあり方について、専門的な見地から意見交換、調査、検討などが行われている。一般の人たちが理解しやすい啓発資料として大阪市の住民を100人村にたとえた色彩豊かな統計資料が作成され、国際結婚や外国にルーツをもつ子どもたちの増加が視覚的に理解できる内容となっている。
文責:李洙任(龍谷大学)