MENU

全国の地区別研究会のご紹介

Introduction of regional study groups in Japan

中国・四国地区研究会

2009年度 中国・四国地区研究会報告

場所: 岡山大学・文化科学系総合研究棟・総合演習室2

テーマ: 「異文化適応における社会文化的適応と心理的適応」
話題提供者(1):奥西有理(おくにし・ゆり) 大阪大学工学研究科
発表素材:“Cultural Fit”: A new perspective on personality and sojourner adjustment. Colleen Ward and Weining C. Chang, International Journal of Intercultural Relations. 1997, 21, 525-533
話題提供者(2):畠中香織(はたなか・かおり) 岡山大学社会文化科学研究科
発表素材:“The influence of self construals and communication styles on sojourner’s psychological and sociocultural adjustment. Mika Oguri, William B. Gudykunst, International Journal of Intercultural Relations, 2002, 26, 577-593

Dr. Coleen Ward(Director – Center for Applied Cross-Cultural Research, Victoria University, New Zealand)らが提案した、社会文化的適応と心理的適応に関する論文やその派生論文を集中的に読み、自分の関心のあるフィールドにこの発想をどう適用できるか考えて意見交換を行う、参加型の勉強会企画として実施されました。異文化適応を文化受容と心理的安寧の側面に分けた発想は、様々な異文化滞在者研究にとって示唆的です。
話題1は、「在シンガポールのアメリカ人滞在者を対象に、パーソナリティ、特に異文化滞在者の外交的性格が、社会文化的適応と心理的適応の度合いとどう関連するかを検討したもの。滞在者が滞在先の文化に合うかどうかという、文化的適合性の概念を提出している。」という論文でした。発表者は、留学生と受け入れ側の間の異文化交流を研究している方です。
話題2は、「在米アジア人学生を対象に、滞在者の文化的自己観、コミュニケーションスタイルと社会文化的適応、心理的適応との関連を調査したもの。滞在者とホスト間の文化的自己観とコミュニケーションスタイルの類似は、適応への影響因子であるとの仮説の検証を試みている。」という文献でした。発表者は、看護師として海外勤務経験を持ち、日本に来るアジア人介護士・看護師の研究を行っている方です。
若手や学生を歓迎する方針で、地区会員以外の方にもおいで頂きました。日本社会の文脈下での社会文化的適応を再考し、今後の研究展開を考える手がかりを得る機会となりました。
文責: 田中共子(岡山大学社会文化科学研究科)