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全国の地区別研究会のご紹介

Introduction of regional study groups in Japan

関西・中部地区研究会

2009年度第1回 関西・中部地区研究会報告

場所: 高槻市立生涯学習センター

話題提供者(1): 西端 大輔氏(大阪大学 大学院)
テーマ: 「日本アニメはどのように日本文化を体現するのか」
本発表は日本のアニメが中国でなぜ好意的に受容されているのか、という視点から、次の2点について発表が行われた。
1)アニメ・マンガと政治は同レベルで語り得るのか?
2)日本製のアニメ・マンガはどのように日本を体現しているのか?
前者については、日本政府のアニメ・マンガに対する姿勢を例にあげ、政府がアニメ・マンガを通して日本の文化をどのように語り得るのかを考察する必要性が指摘された。後者については、アニメ・マンガが体現する文化として、「生活様式としての文化」と「知的藝術的活動の実践あるいはそれによって生み出される作品としての文化」が例にあげられた。発表後、フロアからは、ジェンダーの観点、産業としてのアニメなどについての質問がされ、活発な議論が交わされた。アニメ・マンガが世界に配信されて久しい今日、アニメ・マンガが「何を」伝えているのか、本発表は、文化レベルでの考察の必要性を積極的に説いていた。
文責: 出口 朋美(関西大学大学院)

話題提供者(2): 金光敏 氏(キムクァンミン、特定非営利活動法人コリアNGOセンター)
テーマ: 「外国人・民族的マイノリティの子どもの教育をめぐる今 ~国の政策の現状と課題~」
本発表では、「排外主義」から「受入れ主義」に転換しようとする今日の日本政府の外国人処遇施策について考察するとともに、外国人のこどもたちを取り巻く教育環境がいかに厳しいものであるかをNGOの視点で報告された。
日本社会における外国人のこどもたちの教育権が日本社会のセーフティネットから外れ、保障されていない。戦後の日本は外国人として多数を占めた朝鮮人を社会から排外、差別し、かれらのこどもたちの教育権に関しては、朝鮮人学校強制閉鎖、公立学校での厳しい差別などから、自主朝鮮学校を再建していくことを余儀なくされた。金氏自身が在日コリアン二世であることから、朝鮮人学校がたどった歴史が、公教育から弾き飛ばされ在日ブラジル人がブラジル学校をつくった経過と重なるとされ、外国人のこどもたちへの根本的な支援策が必要であると強調された。ブラジル人は日本だけでなく米国にも多く移民している。しかし、米国社会では、日本社会に見られるようなブラジル人学校は多く見られない。それは、社会に溶け込める環境があり、5年、10年経てば社会の一員になれる多文化要因があるからにほかならない。 本報告で、在日コリアンの教育環境を検証することが、ニューカマーの外国人のこどもたちの教育環境を整備するために避けられない作業であることが確認できた。
文責: 李洙任(りーすーいむ)(龍谷大学)