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全国の地区別研究会のご紹介

Introduction of regional study groups in Japan

北海道・東北地区研究会

2009年度 北海道・東北地区研究会報告

場所: 藤女子大学北16条キャンパス

第1部 研究報告
テーマ:「オバマ大統領に見るネゴシエーション力」
話題提供者: 御手洗昭治氏 (札幌大学教授)

第2部 講演
テーマ:「ねえ、ワタナベ君」と’’Hey, Watanabe’’の間‐『ノルウェイの森』の英訳から見た「文化」の翻訳‐
話題提供者: 簗田憲之氏 (札幌大谷大学教授)

今回はじめての試みで午前開催としたが、研究会には研究者の他、学生、NGO関係者など約40名の参加があった。残念ながら、2件予定していた研究報告の1件が、報告者の都合で急遽中止となったものの、全体としては2時間半という時間が短く感じるほど、知的刺激にあふれた研究会となった。以下、内容を簡単に報告したい。(詳しい内容は、2010年冬に発行されるニュースレターに掲載いたします。)
研究報告はオバマ大統領の選挙戦を「交渉学」の視点から振り返るものであった。米国の大統領選挙では、候補者の選挙公約の国民へのアピール度の高さ、コミュニケーション媒体の活用能力、訴求能力が高くなくてはならず、こうした意味で選挙のプロセスはまさに国民との交渉であり、圧倒的なコミュニケーション能力を駆使して、国民の側に立った政策を強調し、またその実行能力を示唆したオバマ氏は、交渉の成功者であったとされた。
また、第2部では日本文化が英語文化という鏡にどのように映し出され、そこにいかなる「ずれ」と「ゆがみ」が生まれるのかということを、村上春樹の代表作『ノルウェイの森』で比較対照された。たとえば、講演タイトルである「ねえ、ワタナベ君」と’’Hey, Watanabe’’に限っても、「君」のニュアンスが翻訳できないことにより、文化理解をめぐるリスクが孕むと言う。文学作品の日‐英翻訳の比較対照は、異文化理解につながると同時に多文化社会を考える大きなヒントになるように思われた。
文責: 伊藤明美(藤女子大学)