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全国の地区別研究会のご紹介

Introduction of regional study groups in Japan

北海道・東北地区研究会

2008年度 北海道・東北地区研究会報告

北海道・東北地区研究会委員長
伊藤明美(藤女子大学)

去る7月12日に北海道・東北地区研究会が藤女子大学キリスト教文化研究所とのジョイントで開催された。第一部は渡辺崇子氏が「津田梅子による女子高等教育開拓―新渡戸稲造と妻メリーとの接点に着目して―」、第二部は柊暁生氏が「『赦す』ということ」をテーマにそれぞれ報告した。
渡辺氏は、津田梅子による女子高等教育の開拓は二つの方向性を持っており、それらは米国に留学生を送りだすこと、そして自らが学校を設立して女子教育を行うことであったと述べ、その教育開拓には新渡戸稲造および敬虔なクエーカー教徒であったその妻メリーをはじめフィラデルフィア在住のクエーカーの人びとの人的・精神的・経済的援助があったことを明らかにした。
また、聖書学の専門家である柊氏は、ハンムラビ法典、旧約聖書および新約聖書からの詳細な資料を示しながら、「赦し」は聖書にどのように表現されているのかについて報告した。聖書に書かれた復讐や赦しに関わるたとえ話の解釈を通じ「赦し」はイエスの教えの中心にあるということ、また、聖書では数(特に7)を使ったたとえ話が用いられるが、7がキリスト教文化にとって重要な数であると共に、「罪」は「負債(借金)」と考えられていることなどが示された。赦すという行為は自分にとって否定的と思える他者の行為(事実)をどのように解釈するかが問われており、それは「理性を超えるもの」という柊氏のまとめのことばが強く印象に残った。
両報告ともに質疑応答が活発に行われ、学部生・大学院生を含めた40名あまりの参加者にとって知的刺激にあふれた研究会となった。懇親会にも7名の参加を得て、会員・非会員を問わず楽しく充実感のある交流ができたように思う。