去る7/14(土)に第5回北海道・東北地区研究会が藤女子大学北16条キャンパスで開催された。45名の参加者の中には,遠路旭川市から参加された先生もあり研究会は盛会のうちに終わった。
第1部は(財)札幌国際プラザ外国語ボランティアネットワーク 多文化共生グループSKYによる活動報告,そして第2部では北海学園大学教授 藤村和久氏が「アイヌの異文化受容について」というタイトルで講演を行った。SKYは主に札幌市在住の留学生たちとその家族を対象にした支援活動を行っている。丁寧なアンケートやヒアリング調査を踏まえたその活動は,留学生たちの生活に密着した感があり,支援の質の高さが感じられると同時に,調味料リストを作成して留学生に提供するなど,きめ細かさも持ち合わせた内容であった。民間ボランティア支援グループは札幌ではSKYだけとの報告であったが,大学組織等との連携プレイが実現できれば,グループの札幌における留学生支援はさらに充実していくのではないかと思われた。
また,第2部では,藤村氏の長年にわたる研究およびアイヌ民族との交流から,アイヌの空間世界は遠大であり,彼(女)らにとって和人はそもそも「異文化」ではなかったということが指摘された。かつて自給自足を基本としたアイヌの生活は,異文化(他者・自然)を生かすことで成立していたのだという。国家という狭い空間しか持てなくなってしまったかにみえる現代人の多文化共生を考える時,こうしたアイヌ民族の思想に学ぶべきことは多く,また,アイヌ文化振興法施行後10年という節目の年に実に相応しい講演内容であった。
文責:北海道・東北地区研究会運営委員長 伊藤明美(藤女子大学)