学際シンポジウム

2016年2月22日

学際シンポジウム「温故知新―交流史から見た東アジア世界」

九州は太古より大陸文化の窓口として歴史的、文化的に重要な役割を果たしてきました。シンポジウムでは、西九州の中世史または東アジアと日本の交流史を専門とする3名の講師の方々をお招きし、各々のテーマについてお話いただきます。

宮武正登氏(佐賀大学全学教育機構教授・佐賀大学地域学歴史文化研究センター長)
【タイトル】「中世肥前の異文化交流の諸相」
【概要】玄界灘と東シナ海を介して諸外国と接してきた肥前地方(現佐賀・長崎両県)では、大陸との直接交易を成長の基盤とした武士団や、南蛮貿易を通じて独創的文化を育んだ戦国大名らが蟠踞した。その活動痕跡の一端を紹介しようと思う。

伊藤幸司氏(九州大学大学院比較社会文化研究院准教授)
【タイトル】「海域ネットワークと宗教」
【概要】日本伝統文化として溶け込んでいる禅宗文化は、本来は中国最先端の仏教文化として平安末・鎌倉期の日本社会に受容された。日本で最初に禅宗が展開したのは、中世日本最大の国際貿易港であった博多であり、博多では京都や鎌倉に先駆けて博多禅とよばれる独特の禅宗文化が華開いた。こうした禅宗が日本へ流入し、その後、禅宗が日本文化として変容していく背景には、東アジア海域の交流の変化があった。シンポ報告では、東アジア海域の動向と連動する禅宗という宗教のありようについて述べてみたい。

渋谷百代氏(埼玉大学人文社会科学研究科准教授)
【タイトル】「跨境日本人と東アジアー近世・近代・現代「日本町」の縦断的比較」
【概要】近世、そして近代の東アジア各地に出現した日本人町。異郷にできた日本人社会とその周辺地域の人々との関係を中心に、当時の東アジア世界に日本人がどう参加して活動を展開していたかを整理すると共に、東アジアの中の“境界線”について考える。

【指定討論者】 舛谷鋭氏(立教大学観光学部)
【コーディネーター】 金本伊津子(桃山学院大学経営学部)